DX戦略「デジタル技術を活用した経営ビジョンと推進方針」を公表します。
代表取締役メッセージ
当社は創業以来、「つくる前に考える(DESIGN WITH INTENT.)」を掲げ、ウェブを単なる制作物ではなく経営構造の一部として捉える設計パートナーであることを目指してきました。
いま、生成AIやノーコードツールの急速な普及により、「つくる」こと自体の価値は急速に低下しています。同時に、人手不足に直面する中小企業にとって、デジタルによる業務の仕組み化と、データに基づく意思決定の重要性はかつてないほど高まっています。この変化は、従来型の受託制作を主軸とする事業者にとっては明確な脅威であり、一方で、顧客の経営そのものに踏み込める事業者にとっては大きな機会です。
私は、この変化を当社が乗り越えるべき経営課題の中心に据えます。当社はまず自社の業務プロセスをデータとデジタル技術で再設計し、「制作を請け負う会社」から「データに基づいて顧客の成果を設計し、運用し続けるパートナー」へと自らのビジネスモデルを転換します。自社で実践し、成果を出せていないことを顧客に勧めることはできない、というのが当社の一貫した考え方です。
本DX戦略の推進にあたっては、私自身が実務執行総括責任者として全体を統括し、投資判断、体制整備、進捗の評価までを主導します。「やるからには本気だ」という当社の基本姿勢のもと、全社一丸となって本戦略を実行してまいります。
1. 経営ビジョンと情報処理技術活用の方向性
1-1. 社会・競争環境の変化が当社にもたらす影響(リスクと機会)
| 区分 | 当社の認識 |
|---|---|
| リスク | 生成AI・ノーコードツールの普及により、ウェブサイトやグラフィックの「制作」工程そのものがコモディティ化し、制作単価の下落と受託案件の単発化が進む。制作のみを収益源とする事業構造は中長期的に維持できない。 |
| リスク | 制作ノウハウ・案件情報・顧客データが個人の経験や手元ファイルに留まる属人的な運用は、少人数体制において事業継続上の重大なリスクとなる。 |
| 機会 | 中小企業・小規模事業者における人手不足と業務のデジタル化需要は今後も拡大する。当社が自社で実践した業務自動化・データ活用の知見は、そのまま顧客への提供価値になる。 |
| 機会 | ウェブ解析・広告運用・EC運用を通じて当社が日常的に取り扱う顧客の行動データは、成果を継続的に改善するための資産である。これを体系的に蓄積・分析できれば、単発の制作から継続的な運用支援へと収益構造を転換できる。 |
1-2. 経営ビジョン(企業経営の方向性)
当社は、「つくる前に考える」を経営の中核に置き、顧客の集客・売上・業務運営の構造そのものをデジタルで設計し、成果が積み上がる仕組みを共につくり続ける経営パートナーとなることを目指します。技術やデザインは手段であり、目的・価格・導線・継続性までを一体で設計することが当社の提供価値です。
1-3. 情報処理技術活用の方向性(ビジネスモデルの方向性)
上記ビジョンを実現するため、当社は情報処理技術を次の方向で活用します。
- 自社業務のデータ化と一元化 案件・工数・原価・見積・請求・問い合わせといった業務情報を、個人のファイルや記憶ではなくクラウド上の構造化データとして一元的に蓄積する。
- 蓄積データに基づく意思決定への転換 案件別の採算データと顧客サイトの成果データを突き合わせ、価格設定・提案内容・リソース配分を経験則ではなくデータに基づいて決定する。
- 生成AIによる制作・運用工程の再設計 要件整理、原稿作成、コーディング、成果レポート作成といった工程に生成AIを組み込み、創出した時間を顧客の課題分析と改善提案という高付加価値業務へ再配分する。
- ビジネスモデルの転換 上記1〜3により、収益の中心を「制作の対価」から「データに基づく継続的な運用・改善支援の対価」へ移行させる。
2. DX戦略(具体的方策)
当社は前章の方向性を実現するため、以下の三段階でDXを推進します。
第1フェーズ(2026年度):業務データの一元化と基盤整備
- 案件管理、工数記録、見積・請求、問い合わせ対応の各業務をクラウドサービスに集約し、表計算ソフトおよび個人端末上での個別管理を廃止する。
- 全案件について、着手から納品・運用までの工程・担当・所要工数・外注費を統一フォーマットで記録し、案件別原価を自動集計できる状態にする。
- 顧客とのやり取り、制作データ、納品物をクラウドストレージ上の統一されたフォルダ構成へ移行し、アクセス権限を役割に応じて設定する。
第2フェーズ(2027年度):蓄積データの活用
当社が蓄積する以下のデータを横断的に分析し、業務判断へ反映させます。
| 活用するデータ | 活用方法 |
|---|---|
| 案件別の工数・原価・粗利データ | 案件類型ごとの標準工数と適正価格を算出し、見積の精度と収益性を改善する。赤字化リスクの高い案件類型を早期に特定する。 |
| 顧客サイトのアクセス解析・広告運用・EC売上データ | 施策と成果の関係を定量的に把握し、改善提案を型化する。業種・規模別に有効施策のパターンを抽出し、提案の初動を高速化する。 |
| 問い合わせから受注までのパイプラインデータ | 流入経路別の受注率・単価・リードタイムを可視化し、営業リソースと集客投資の配分を最適化する。 |
| 制作物・提案資料の履歴データ | 過去の成果物を検索可能な形で構造化し、再利用可能な部品・テンプレートとして整備する。 |
第3フェーズ(2028年度):生成AI活用と提供価値の転換
- 要件整理、原稿作成、コーディング補助、成果レポートの下書き作成に生成AIを組み込み、制作・運用工程を再設計する。
- 顧客向けの月次運用レポートを、蓄積データから半自動で生成・配信する仕組みを構築する。
- 上記により創出した時間を、顧客の経営課題の分析と改善提案に再配分し、継続的な運用支援契約を主たる収益源とする体制へ移行する。
3. DX戦略を効果的に進めるための体制と人材
3-1. 推進体制
- 実務執行総括責任者:代表取締役 菅原優斗が、DX推進の最高責任者として本戦略の策定・投資判断・進捗評価を統括します。
- DX推進会議:当社は少人数組織であるため専任のDX部門を設置せず、代表取締役が主宰し全メンバーが参加する「DX推進会議」を月次で開催します。同会議において、各施策の進捗、指標の達成状況、次月の実施事項を確認し、必要な投資判断をその場で行います。
- 業務プロセス責任者:各業務領域(制作・運用・管理)ごとに担当者を定め、当該領域のデータ整備と業務標準化の実行責任を負います。
3-2. 外部組織との関係構築・協業
- 当社は一般社団法人中小企業販促・DX支援協会の認定パートナー企業として、中小企業のDX支援に関する知見・事例の共有を受けるとともに、自社の実践知を協会活動へ還元します。
- 制作・開発・運用の各領域において協力会社および業務委託パートナーとのネットワークを維持し、当社単独では担えない専門技術(システム開発、データ分析等)を外部と協業して確保します。
- 公的支援機関(枚方市立地域活性化支援センター等)の相談窓口・専門家派遣制度を活用し、外部知見を体制整備に反映します。
3-3. デジタル人材の育成・確保
- 育成:全メンバーを対象に、データ活用および生成AI活用に関する社内勉強会を月1回以上実施します。ITパスポート、ウェブ解析士など業務に関連する資格の取得を奨励し、受験料および教材費を会社が負担します。外部セミナー・研修への参加費用についても会社が支援します。
- 実践による育成:第1〜第3フェーズの各施策について、メンバーが自ら設計・導入・運用を担当することで、実務を通じたデジタルスキルの定着を図ります。
- 確保:正社員に限らず、業務委託・副業・リモート勤務を含む多様な就業形態を前提とした採用を行い、専門性の高いデジタル人材が当社の事業に参画しやすい環境を整備します。
4. 最新の情報処理技術を活用するための環境整備
4-1. ITシステム環境の整備方針
- クラウドファースト:自社設備によるサーバ運用を行わず、業務システムはクラウドサービスを標準採用します。これにより、少人数組織でも最新技術を継続的に取り込める環境を維持します。
- データ連携:案件管理・会計・コミュニケーション・ストレージの各サービスをAPIまたは標準連携機能で接続し、同一データの二重入力を排除します。データ形式を統一し、分析ツールおよび生成AIから参照可能な状態を保ちます。
- アクセス基盤:全メンバーがどの拠点からも同一の業務環境にアクセスできるよう、多要素認証を前提としたクラウド上の業務基盤を整備します。
4-2. レガシーな業務基盤への対応
- 表計算ソフトによる案件管理・工数管理、および個人端末のローカル保存によるファイル管理は、データの分断と属人化を招く当社のレガシー領域と位置づけ、第1フェーズにおいて段階的に廃止します。
- 紙および固定フォーマットのPDFで運用してきた見積書・請求書・契約書は、電子取引および電子契約サービスへ移行し、データとして検索・集計可能な状態にします。
- 移行にあたっては業務停止を避けるため、新旧の並行運用期間を設けたうえで、対象業務ごとに順次切り替えます。
4-3. DX投資計画
- 当社はDXに関連するシステム投資・研修投資について、年度予算においてあらかじめ枠を確保し、DX推進会議の決定に基づいて執行します。
- 投資判断は、第5章に定める指標への寄与度を基準として行い、効果が確認できない投資は次年度に見直します。
- IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等の公的支援制度を積極的に活用し、投資負担を抑制しながら基盤整備を進めます。
5. DX戦略の達成状況に係る指標
当社は、本DX戦略の達成状況を以下の指標により測定し、DX推進会議において四半期ごとに進捗を評価します。
5-1. 企業価値創造に係る指標
| 指標 | 基準値(2026年度期首) | 目標値 |
|---|---|---|
| 継続的な運用・改善支援(保守運用・広告運用等の継続契約)による売上高比率 | 20% | 40%(2028年度末) |
| データ活用による顧客あたり年間取引額(LTV) | 基準値を2026年度に確定 | 基準値比 150%(2028年度末) |
5-2. DX戦略の実施により生じた効果を評価する指標
| 指標 | 基準値 | 目標値 |
|---|---|---|
| 1案件あたりの社内工数(標準的なコーポレートサイト制作案件) | 2026年度実績を基準とする | 基準値比 ▲30%(2028年度末) |
| 問い合わせ受領から見積提出までのリードタイム | 2026年度実績を基準とする | 基準値比 ▲50%(2027年度末) |
| 定型業務の自動化による削減時間 | 0時間/月 | 40時間/月(2028年度末) |
| 見積工数と実績工数の乖離率 | 2026年度実績を基準とする | ±10%以内(2028年度末) |
5-3. DX戦略に定められた計画の進捗を評価する指標
| 指標 | 基準値 | 目標値 |
|---|---|---|
| 案件情報・工数・原価のクラウド上での一元管理率 | 0% | 100%(2027年3月末) |
| 電子化された見積・請求・契約の割合 | 2026年度実績を基準とする | 100%(2027年度末) |
| 生成AIを組み込んだ業務工程の数 | 0工程 | 5工程(2028年度末) |
| データ活用・生成AI活用に関する社内研修の受講率 | ― | 全メンバー100%(毎年度) |
6. サイバーセキュリティに関する対策
DXの推進は、情報資産の安全性が確保されて初めて成立します。当社は別途定める「情報セキュリティ基本方針」(2026年5月1日制定)に基づき、機密性・完全性・可用性の確保、法令および契約上のセキュリティ要求事項の遵守、インシデント発生時の対応、全メンバーへの定期的な教育、運用体制の定期的な評価と継続的改善を実施しています。
また当社は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」制度に基づき、二つ星の自己宣言を行っています。
本DX戦略に基づき新たに導入するクラウドサービスについては、導入前に多要素認証の可否、アクセス権限管理、データの保存先およびバックアップ体制を確認し、情報セキュリティ基本方針に適合することを確認したうえで採用します。
7. 本戦略の決定および見直し
本DX戦略は、当社の意思決定機関において2026年7月31日に決定・承認されました。当社は会社法上の取締役会非設置会社であるため、取締役会に準ずる機関として、代表取締役が主宰し全メンバーが参加する経営会議(DX推進会議)を意思決定機関と位置づけています。
本戦略は、事業環境および技術動向の変化を踏まえ、年1回以上見直しを行い、変更した場合は速やかに本ページを更新のうえ公表します。
以上
制定日:2026年7月31日
株式会社PENGUIN WORKS
〒573-1159 大阪府枚方市車塚1丁目1-1 枚方市立地域活性化支援センター6階7号室
代表取締役 菅原 優斗